これら問題の大きさに、参議院の谷博之議員が告発者の証言と野田市保健所等の情報に基づき、文教化学委員会と厚生労働委員会において、質問を行った。(この模様は参議院サイトで中継された)

議論の内容

5・11 文教化学委員会

(要約***敬語略)

谷議員;東京理科大学生命研究所では5年前から、同大学薬学部では昨年の野田市移転当時から、内規に反して、遺伝子改変動物を施設外の研究室などで飼育したり、容易に逃げやすいビニール袋に入れて運んだり、繁殖記録も行われていなかったりした。特に悪質な安部教授(元帝京大学副学長の薬害エイズ裁判で有名になった安部副学長の息子)(=当該動物実験施設の管理責任者)の研究室では、5匹のマウスしか入らないケージに、37匹ものマウスを入れていた。尾は切れ、(事故で)頭は飛び、最後には餌を与えないために共食いをするという実験動物の管理の仕方をしていた。なおかつ、この生命科学研究所の安部研究室では、97年ごろに、内規で禁止しているマラリア原虫の投与実験も強行したこともあった。
更に、生命科学研究所のすぐ横のごみ置き場(屋外)から、遺伝子改変或いは感染症罹患の可能性のある実験用マウスが2度も目撃されている。
実験用マウスと思われる白いねずみが逃げ出しているのを、市民が千葉県の野田保健所に通報し、野田保健所はそれを受けて昨年10月に立ち入り検査を行っている。
この施設の実験動物管理を委託されている業者が相当厚い資料を問題点として、文部科学省に届けているはずである。

川村文科省大臣;理科大学側からは「現在は適切な管理を行っているが、過去において、必要以上に動物を繁殖させていた、あるいは飼育管理を請け負った会社から指摘されたような事実が一部あった」という報告があった。
ライフサイエンスに動物実験は不可欠になっているが、動物愛護法の精神、動物福祉の観点に十分配慮して、関係法令等重視してもらわなくてはならない。各大学等に対し、動物実験や動物の飼育管理が適切に行われるよう、様々な機会を通じて注意を促していきたい。

谷議員:私は完全に改善されたとはまだ見ていない。今年の2月に遺伝子組み換え生物規正法(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律*平成15年6月18日法律第97号)が施行された。この31条には、強制立ち入りができるという条文がある。大学側の回答を裏付けるという意味からも、直ちに立ち入り検査をするべきと思っている。

石川研究振興局長;東京理科大学に対し説明を求め、法令に基づいて適正な措置がとられているという報告を受けている。また、現在は法令違反の恐れがあると判断される事実は認められていないので、法律に基づく立ち入り検査を実施するまでの必要性は認識していない。

谷議員;内部からのいろいろな指摘があるのだから、指摘された事実は確認しなくてはいけない。

石川研究振興局長;業者からの様々な指摘について、東京理科大学から状況聴取している。現在、改めて大学で調査をするということで、学外の有識者を含めた特別調査委員会を設置をし、調査を行っているらしい。その調査の中で一層明らかにされると考えており、そういった事柄等も踏まえ、適切な対応をとっていきたい。

谷議員;ぜひこれは今後の動きを注目したいと思っている。
この大学以外にも、私立大学の薬学部などには、具体的に大学の中でどういう実験動物が飼われていて、それはどこにあって、そして施設の存在すら近隣住民はわからないことも結構ある。近隣住民或いは保健所が定期的に立ち入りできるような制度、少なくとも公開を進めていくことが指導されてしかるべきだと思っている。

石川研究振興局長;各大学において動物愛護管理法、基準、学術審議会の報告等に基づき、指針や指針の適切な運用を図るための実験委員会等を設け、各大学においてそれぞれ自主的な管理を行っている。学術研究や学問の自由等の性格にもかんがみ、大学の自主性や或いはその自立性を尊重しながら実施をしていくことが適当だと考えており、法律に基づく立ち入り検査の導入等については、関係者の意見等も踏まえて慎重に対応する必要がある。
また、動物の飼育管理状況の公開、情報提供についても、大学において本来自主的に行っていくことが望ましく、文部科学省は情報提供の積極的な対応に努めるよう、様々な機会を通じて大学に求めていきたい。

谷議員;管理委託業者が(実験動物の飼養を)やっていると思う。大学の研究施設で直接行うところもあるが、生き物だから当然責任ある管理者がいて管理しなくてはいけない。管理を専門で行う委託業者は、全国に5社ほどあるが、業者の数が足ないので、ビルメンテナンス会社などが副業で行っている。そうすると、動物の専門家ばかりではないため、適切な管理ができているか疑わしい例も出てくる。実験動物の管理には一定の資格や水準を持った業者があたるべきだと思う。最低でも届出制あるいは許可制のような形で業者を決めるという風な形に持っていくというのが最善の方策ではないかと思う。

石川研究振興局長;実験動物の飼養等作業を外部の業者に委託を実施する場合、充分な業務能力を有する業者の方に委託を行うことが基本であり、大切である。その上で、大学等の研究機関における自主的な管理の元で、適切な飼養管理が行われるべきという認識をしている。
実験動物の飼育等が大学だけでなくて、民間企業の研究所等を含め幅広く実施をされているので、関係省庁含め関係者による慎重かつ幅広い議論が必要ではないかと考えている。

谷議員;施設外飼育、過密飼育、繁殖記録のずさんな管理など、これでまともな研究や国際的評価ができるとは思えない。薬学部が6年制になれば、時間的余裕もできるので、普通は福祉というと人間の福祉ということに使われますけれども、動物にも福祉がある。生き物なんです。その実験動物をどうやって数を減らしていくか、いかに動物に苦痛を与えずその貴重な命を臨床のために使うかが基本。したがって動物実験代替法、あるいは生命倫理に関する教科、授業に力を入れる必要性を強く感じている。

副大臣;動物もこの世に生を受けた限り、やっぱりその生を全うすると、それが権利うんぬんということになるかどうかわかりませんけれども、当然なことだろうと思っている。先生から非常に大事なところをご指摘いただいた。こういう本当に隠れたしかし大事なことについても、思いをいたさなければならないろ思っている。薬学教育におきましては、平成14年8月に日本薬学学会におきまして、薬学教育モデルコアアリキュラムを作り上げたところであり、その中にも全ての薬学生が卒業までに身につけるべきことというタイトルで、動物実験における倫理について配慮をすることと、代表的な実験動物を丁寧に適切に取り扱うということをわざわざ書き上げている。医療人にとってたしかな倫理観を身に着けていくことは、当然基本的な事項と考えており、モデルコアカリキュラムを踏まえて、この問題に関する教育が充実されるよう、各大学を指導していきたいとこう思っている。

 
5・13 厚生労働委員会答弁

(谷議員の質問は前日とほぼ同内容のため、省略。)

坂口厚生労働大臣;昨年の10月、感染症法を改正し、動物を薬学調査のために対象として明記した。また、動物を媒介する4類の感染症について消毒薬等の動物の駆除等、対処を行えるようにした。動物と人間と共通の病原体や病気もあるので、動物を飼育して研究をする際、動物の管理が非常に大事になる。薬学部だけでなく、医学部や、他の研究所にも共通する問題だが、多くの病院は実験動物の管理に非常に気を使っているし、中には実験動物担当教授を作ったところもある。その遺伝的なものから、飼育の問題や感染症の問題から、非常に気を使っているところがある。実験の基礎になる問題だから、非常に大事であるし、周辺の住民の皆さん方の間との問題も存在する。行き届いた管理が行わなければならないことは間違いがない。我々も今後十分に注意していきたいと思っている。

遺伝子組み換え動物規制法に基づく立ち入り検査に関して
石川研究振興局長;過去において遺伝子組換え動物が、逃亡防止設備を備えていない実験室で飼育されていた事実があったが、現時点では改善をされている。動物の逃亡があったことを示す事実は確認をされていない。遺伝子組換え動物規正法等に基づく立ち入り検査を実施する必要性は今のところは無いと考えているが、このような問題が再発しないように体制整備など適切に対応することが重要であると思っているし、今後十分に注意を払っていきたいと考えている。
なおもし東京理科大学の調査委員会の報告等に起きまして、新たな問題が明らかになる場合は、適切に対応してまいりたい。
近隣住民は実験動物に起因し感染症が起きるのではという不安を保健所に相談に行くが、その対応等について


坂口厚生労働大臣;地域の保健所がそうした役割を担わなければならなず、対応できるようにしていかなければならない。
地域の皆さんが、何らかの感染症が起こった、或いは起こる可能性があると心配になれば、その感染症の感染経路や治療の情報、そこでどういう実験をしているのかとい情報もあわせて、情報提供を行うことだろう。また、国民に十分理解されるように報告する義務がある。
感染症が舞入する恐れがあれば、立ち入り調査もできるから、十分に話を聞いたうえで、調査の判断をする。これは地域の皆さんの健康とに大きく関わりのある話だから十分に対応ができるよう、全国の保健所に対し、体制を整えるようにしたい。

 

 

 

 


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