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バイオリソースプロジェクト マカクザルの中止を要望します


文部科学省へ、要望書を提出・・・・・2004年2月20日 


生命倫理



このプロジェクトを止めるためには、各方面からの働きかけが重要です。ご協力いただける方はご連絡ください。様々な視点からのご協力をお待ちしています。

 

文部科学省へ、要望書を提出・・・・・2004年2月20日 

文部科学省では、2002年よりこのプロジェクトの一環として、動物実験用のマカク猿やチンパンジーの繁殖・供給計画を推進しており、平成18年度までの予算措置がとられ、事業計画もできています。
HPも2004年2月にできています。
マカク猿プロジェクト:
http://www.macaque.nips.ac.jp/event/ev20040307.html
チンパンジープロジェクト:
http://www.nbr-chimp.org/index.html
こちらのプロジェクトに対し、ARCでは、3月、文部科学省を訪問し、計画の中止、実験計画の公開、動物実験代替評価機関の設立などについて記載した要望書を行いました。
【賛同者及び賛同団体】
大作栄一郎 (環境省環境カウンセラー)
森谷宇一 (大阪大学教授・文芸学)
大庭奈保子 (大阪大学博士後期過程院生・環境文学)
本間直樹 (大阪大学講師・臨床哲学)
高橋龍夫 (専修大学助教授・環境文学)
柘植光彦 (専修大学教授・現代文学)
長野順子 (神戸大学教授・美学)
山城新 (琉球大学講師・環境文学)
Dr. Ray Greek (医学博士)
Americans For Medical Advancement (アメリカ合衆国・医学団体)
Animal Liberation Victoria (オーストラリア・アニマルライツ団体)
Europeans For Medical Advancement (ヨーロッパ・医学団体)
In Defense of Animals (アメリカ合衆国・アニマルライツ団体)
Japanese For Medical Advancement (日本・医学発展を目指す団体)
Last Chance for Animals (アメリカ合衆国・アニマルライツ団体)
平成14年度から、バイオリソースプロジェクトの一環として、マカクザルなど霊長類の繁殖・供給計画を推進していることに関して、以下の要望をいたします。


(1)猿を侵襲的実験に使うための計画に税金を投入することを中止してください。

 最近ではEU諸国やニュージーランドでチンパンジーの実験を禁止しております。また、チンパンジーのみならず大型類人猿や猿を実験に使うことを禁止する動きが進んでいます。先進国では、研究者・医師たちからも、類人猿を実験に使うことは正当化できないという見解がでています。つい先日も、イギリスのケンブリッジ大学の霊長類実験施設建設が中止になったというニュースが流れました。
 このような世界的流れに逆行せず、世界的な認識に追随し、倫理的側面からも評価しうる実験への変革が求められています。


(2)該当プロジェクトに対し、過去において投入された税金の金額および使途の詳細の公開を要望します。

 国民に広く議論を呼びかけることなく、脳や他の実験に猿を必要とする一部研究者の要望に応じるような形での資金投入ですが、初年度から最終年度までの税金投入金額とその内訳、その動物実験の内容、及び成果を、国民に説明し公開するべきです。


(3) より生産的・有益な研究または事業、より人道的な試験方法(以下代替法)開発、及び代替法評価機関の設立へ、資金投入の変換を要望します。

 欧米の研究者からは「霊長類の脳は人間のものとは質的に大変異なるので、アルツハイマー病やパーキンソン病のような疾病の謎が霊長類実験によって解明されるかもしれないと仮定することは不合理である」という見解さえあります。
 例えば、チンパンジーがエイズの動物モデルとしては不適格であることが、巨額の人材と費用を投入した後にわかっています。また、猿にポリオを感染させる以前に、病理学者はヒトの腸内でポリオウイルスを発見し、その感染経路を明らかにしていました。しかし、ヒトに基づいたそれらのデータより、ヒトとは感染経路の異なる猿を使った実験データを重視したために、ワクチンの開発が遅れました。Flosint(関節炎薬物治療)に関しては、猿で試験されたのち認可されましたが、人間では死につながりました。
 このように、動物実験は時間・人材・巨額の血税を無駄にする場合があり、動物を元にしたデータは、国民にとって利益どころか不利益を与えることになります。
 科学技術振興調整費などを使い、多くの動物実験がなされております。動物を病気にし、解剖し、種差を調べるために使われている時間・人材・税金を、ヒトそのものの研究、非侵襲的な手法の開発、ヒト細胞や新しい非破壊検査や植物を使った毒性試験などの研究に投入し、より人道的かつ人に恩恵をもたらす研究に転換していくよう、強く要望いたします。

 OECDでも、不必要な動物実験の廃止に合意がなされ、欧米では、国と民間機関が協力して代替法の開発に取り組み、その試験の評価機関も存在し活用されています。一方、日本には先進国で見られるような国による代替法の開発・評価機関がなく、さらに代替法への変換と開発は、日本では重要な位置付けにないため、この分野は立ち遅れています。これらのことは、不必要な動物実験の削減・廃止と代替法の活用に支障をきたす一因となっています。
 日本における代替法開発の活性化およびその評価機関設立は、動物のためだけではなく、医学研究等の国際的競争力のためにも重要です。


(最後に)
 動物実験を最初に行った人物は、動物は心や感情を持たないと主張し動物実験を推進しました。しかし、実際には動物はコミュニケーションを図ることができますし、喜び、悲しむこともできますし、人間と深い絆で結ばれることもあります。痛みを感じ、家族との絆をもち、仲間と社会的な営みを持ちます。
 血が出て死に至る機械のように動物を扱い、人の利益だけを最優先させる動物実験は、非人道的であり厳しく規制されるべきです。
 特に猿は知能が高く、それゆえに人体実験の代わりに使われるわけですが、欧米では猿を使う実験は幼児を使った人体実験にも匹敵するという声もあがっています。
 このように豊かな感情のある生き物を、尊ぶことなく、終生収監し、実験に使うことは、人のためという大義名分があってもなお、許容できるものではありません。


ご検討いただき、ご回答を3月5日までにいただきたく存じます。

(参考)
*参考資料1*大型類人猿・類人猿を使った実験に関する世界の動向 
イギリス・ニュージーランド:法律で禁止
スウェーデン:大型類人猿とテナガザル類9種の実験使用禁止
オランダ:大型類人猿の生物医学実験への使用を禁止の動き
*参考資料2(別紙)*Americans For Medical Advancement FAQ
*参考資料3(別紙)*猿の写真(霊長類を使った動物実験・自由に生きる野生のサル)

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生命倫理の観点からのアプローチ
動物実験で犠牲になる動物の数を少なくする一つの方法として、供給源を断つという手段が考えられます。現在、研究で犠牲になる犬猫の数は激減してきていますが、その理由の一つが保健所からの払い下げの減少です。(1986年10万匹→2002年1500匹)実験用のビーグルの購入価格は10万〜15万円といわれているので、むやみに実験ができなくなっているのです。日本猿についても、以前は有害駆除を名目に安価で調達を行ってきましたが、鳥獣保護法に違反することが指摘され、手に入らなくなってきています。困った研究者たちは、税金で巨大なプロジェクトを立ち上げました。
すでに44億円もの破格の予算を得ているこのプロジェクトを止めることは容易ではありません。しかし止めなければ、猿たちは極めて痛苦な実験に供されることになってしまいます。
少しでも協力を願えればと考え、生命倫理を追求する団体へ以下の趣旨で協力を求めました。
生命倫理を考える団体は、現在まで遺伝子組み換えなどの生命操作や脳死に関わる臓器移植などの問題で大きな成果を残してきています。しかし、残念ながら動物実験に関する倫理問題には言及しないのが実情です。しかし、猿に関しては十分彼らの活動の範疇であるはずなのです。


(1)動物の中ではサルは特別な位置にある。特にチンパンジーは、DNAの99%が人間と一致していて、さらには重要な遺伝子部分ではほとんど一致している準人間といえます。チンパンジーに関しては、学者間では、一人二人と数えることがすでにルール化しています。
また、アメリカの法律学者は、大型類人猿を人間の範疇に入れるべきという論理を展開しています。これらの例よりサルに関して論議することは決して生命倫理の範疇から離れるものではありません。

(2)人体実験を阻止したい生命倫理学者は、サルにおける実験にナーバスになるべきです。なぜなら、サルでの実験は二つの意味で人体実験の準備段階であるからです。
ひとつは心の準備です。感情豊かな動物であるサルを用いて実験を行うことで若き研究者をきたるべき人体実験に対して鈍感になるよう訓練しています。
もうひとつは、技術の準備です。 上記したように体の構造が極めて人と近いサルを用いて良い結果がでれば、人体実験を行う格好の説得材料を研究者たちは手にすることになるからです。


生命倫理学者には医学に専門でない人も多いです。そんな人に是非見てほしいのが「疾患モデルマウス図鑑」「ノックアウトマウス図鑑」と呼ばれる本です。大きな本屋の医学専門書棚には置いてあるはずです。その中には、ありとあらゆる生命操作をされたねずみが掲載されています。これらは近未来の人の姿だと思います。
人体実験を防ぐには、サルへの実験をなんとかして止める必要があります。
ナショナルバイオリソースプロジェクトを阻止することは、動物保護団体だけではなく、生命倫理団体の責務であるはずです。

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写真協力 = 野生の猿:大作栄一郎 / 動物実験の猿:AESOP